こんにちは、マイクです。
前回の記事では、時間足が違っても殆ど見分けがつかないぐらい似た形状がチャートに表れるのは、相場の持つ「フラクタル性」によるものであることを説明しました。
ただ、厳密に相場の価格変動がフラクタルであることを示すには、そこに1より大きい「フラクタル次元」が存在することを示す必要があります。
フラクタル次元の計算には、統計力学の用語で「粗視化」という手法を用います。
実は、この「粗視化」の考え方が、チャートの時間足を切り替えることと、非常によく対応しているのです。
概念をわかりやすく説明するために、今、価格 \(p\) が時間 \(t\) に比例して上昇しているとします。
\[p(t)=at\tag{1}\]
そして、\(t=0,1,\cdots,n\) について価格のデータが取得されているとしましょう。
これは、\(t\) の単位を「分」とすれば、1分足の終値のデータが \(n+1\) 期間分あることに相当します。
この時、このデータセットの「距離」\(L\) を次式で定義します。
\[L=\sum_{j=1}^n |p(j)-p(j-1)|\tag{2}\]
式(2)は、前の終値から現在の終値までの変化量の絶対値を、全ての足について足し合わせたものであることを示しています。
イメージ的には歩いた道のりの長さですね。
今、値動きは、式(1)で表されるように時間に比例して、毎分 \(a\) で等速上昇していると仮定していますので、この距離は、
\[L=an\tag{3}\]
となります。
次に粗視化を行います。
粗視化とは、データを \(k\) 個毎にまとめ、その代表値を定めることを言います。
この説明を聞いて、ピンときた人は鋭いですね♪
そうです!
これは、例えば \(k=5\) の場合、チャートで5分足に切り替えて、その各終値を抽出することに相当します!
「粗視化」と「時間足の切り替え」が等価なものであることがわかりましたね♪
この時、粗視化のスケール \(k\) に対応する「距離」\(L(k)\) を次式で定義します。
\[L(k)=\sum_{j=1}^{n/k} |p(kj)-p(k(j-1))|\tag{4}\]
式(4)も、このスケールの時間足で、前の終値から現在の終値までの変化量の絶対値を、全ての足について足し合わせたものであることを示しています。
式(2)の \(L\) は式(4)で \(k=1\) の場合、つまり \(L(1)\) にあたります。
では・・・
式(1)で値動きが表される場合、スケール \(k=5\) における距離 \(L(5)\) は、いくつになるでしょうか?
この答が、フラクタル性の有無を判別する、重要な指標となります。
次回までに考えてみてくださいね♪
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