こんにちは、マイクです。
前回の記事では、同期間のSMAとEMAの重みを比較して、EMAの「期間」が持つ意味を説明しました。
■知っているようで知らないMAの話(1:SMAとEMAの違い)
■知っているようで知らないMAの話(2:EMAの「期間」って何?)
■知っているようで知らないMAの話(3:SMAとEMAの重みの関係は?)
ここで、読者のTさんから質問を頂きました:
マイクさん
こんにちわ、Tです。
今までEMAは何を表しているのかよくわからず敬遠していましたが、重みを比較した図を見て、とてもイメージがわきました。
それで一つ疑問に思ったのですが、EMAの式を見ると、計算に無限のデータを使ってますが、実際にはどうやって計算してるんですか?
どこかで打ち切っているのでしょうか?
はい、これはもっともな疑問ですね!
実はEMAは、実際にはたった2つの値を使って計算できます。
???
無限のデータを使ってるはずなのに、2つってどういうこと!?
という声が聞こえてきそうですが・・・
その2つとは、
- 現在の終値
- ひとつ前のEMAの値
という2つの値です。
では、もう一度期間\(n\)のEMAの定義式を見てみましょう:
\[\mathrm{EMA}(t)=\alpha\sum_{j=0}^{\infty}(1-\alpha)^j p(t-j)\tag{1}\]
但し、\(p(t)\)は時刻\(t\)の終値、
\[\alpha=\frac{2}{n+1}\tag{2}\]
でしたね。
式(1)から、ひとつ前のEMAを求めると、
\begin{align}\mathrm{EMA}(t-1)&=\alpha\sum_{j=0}^{\infty}(1-\alpha)^j p(t-1-j)\\&=\alpha\sum_{j=1}^{\infty}(1-\alpha)^{j-1} p(t-j)\tag{3}\end{align}
両辺に\((1-\alpha)\)を掛けると、
\[(1-\alpha)\mathrm{EMA}(t-1)=\alpha\sum_{j=1}^{\infty}(1-\alpha)^j p(t-j)\tag{4}\]
式(1)と(4)の右辺を見比べると、\(j\)=1以降の項は共通していることがわかります。
そこで(1)から(4)を引くと、右辺は\(j\)=0の項だけが残ります:
\[\mathrm{EMA}(t)-(1-\alpha)\mathrm{EMA}(t-1)=\alpha p(t)\tag{5}\]
よって、
\[\mathrm{EMA}(t)=\alpha p(t)+(1-\alpha)\mathrm{EMA}(t-1)\tag{6}\]
となり、「現在の終値」と「ひとつ前のEMAの値」の2つの値から求められることがわかりました。
わお、何てシンプルな式なんでしょう♪
同時に、実はこの式は、EMAの持つある重要な特徴を示しています。
それは・・・
ちょっと式が続きましたので一休みしましょうか。笑
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