知っているようで知らないMAの話(5:EMAの角度とローソク足の位置との関係)

こんにちは、マイクです。

少し間が空いてしまいましたが、前回のMAの話では、EMAを実際に計算する際に用いる式を導出し、その式がEMAの持つある重要な特徴を示していることを指摘しました。

さて、その特徴とは何でしょうか?



では、期間\(n\)のEMAの計算式を再掲しましょう:

\[\mathrm{EMA}(t)=\alpha p(t)+(1-\alpha)\mathrm{EMA}(t-1)\tag{1}\]

但し、

\[\alpha=\frac{2}{n+1}\tag{2}\]

でした。

ここで、式(1)を変形すると以下のようになります:

\[\mathrm{EMA}(t)-\mathrm{EMA}(t-1)=\alpha (p(t)-\mathrm{EMA}(t-1))\tag{3}\]


式(3)の左辺は、ひとつ前の時刻からのEMAの増分、つまり、

EMAの角度

を表しています。

そして、式(3)の右辺は、現在のローソク足の終値とひとつ前のEMAとの差分に係数\(\alpha\)を掛けたものになっています。

ここで、

\[0<\alpha<1\]

なので、

  • EMAの角度が正の時には、現在のローソク足の終値はEMAより上に
  • EMAの角度が負の時には、現在のローソク足の終値はEMAより下に

それぞれ存在することがわかります。

そして、

  • EMAの角度が0(水平)の時には、現在のローソク足の終値はEMAと一致

していることになります。


さて、ここで「マイクの定理」を思い出してください。

「マイクの定理」とは、遅行スパンとSMAの角度との関係を表す等式です。

■ マイクの定理
時刻\(t\)に対応する期間\(n\)の遅行スパンとローソク足との乖離は\[D_n(t)=p(t)-p(t-n)\tag{1}\]と表される。但し、\(p(t)\)は時刻\(t\)の終値。
一方、時刻\(t\)における期間\(n\)の単純移動平均線\(\mu_n(t)\)の角度\(A_n(t)\)を考える。
隣り合ったローソク足の横軸方向の間隔を、期間\(n\)で基準化し\(1/n\)とすれば、\[A_n(t)=n(\mu_n(t)-\mu_n(t-1))\tag{2}\]と表される。
この時、\[D_n(t)=A_n(t)\tag{3}\]が成り立つ。



つまり、「マイクの定理」によれば、

  • SMAの角度は、同期間の遅行スパンとローソク足との乖離に等しい

のでしたね。


これがSMAとEMAとの決定的な違いになります。


では、チャートで確認してみましょう:

20151126EURUSDM15

EMASMAです。

確かに、EMAの角度が負(下向き)の時はローソク足(終値)がEMAより下に、EMAの角度が正(上向き)の時はローソク足(終値)がEMAより上に、それぞれあることがわかりますね!


そして、Aのローソク足を見てください。

終値がEMAと一致していますね。

その時、EMAは確かに水平になっています!


次にBの部分を見てみましょう。

ローソク足がSMAより下にあっても、SMAは上向きのままですね。

これは遅行スパンが対応するローソク足より上にあるからです。


一方、EMAはローソク足がEMAを下回ると同時に、スパッと下向きに転じています。


これがSMAとEMAとの最も特徴的な違いです。


次回には値動きのパターン別に、2種類のMAの違いを更に見ていきたいと思いますので、お楽しみに♪


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